「エイリアン: コヴェナント」は、リドリー・スコット監督によるSFホラー映画で、エイリアンシリーズの前作にあたる「プロメテウス」の続編です。
この作品は、地球から遠く離れた惑星に降り立ったコヴェナント号の乗組員たちが、未知の脅威に立ち向かう姿を描いています。
本記事では、この映画のあらすじや評価、見どころを詳しく考察し、リドリー・スコット監督がこの作品を通じて伝えたかった真意について探ります。
映画情報
| 公開日 | 2017年5月19日（アメリカ）、2017年9月15日（日本） |
| 上映時間 | 122分 |
| 監督 | リドリー・スコット |
| 脚本 | ジョン・ローガン、ダンテ・ハーパー |
| ジャンル | SF、ホラー |
解説
「エイリアン: コヴェナント」は、リドリー・スコット監督によるエイリアンシリーズの第6作目です。
公開日は2017年5月19日で、アメリカで初公開されました。
上映時間は122分です。本作の監督であるリドリー・スコットは、シリーズの第1作目「エイリアン」を手がけた人物であり、その後のシリーズにも強い影響を与え続けています。
脚本は、ジョン・ローガンとダンテ・ハーパーによって書かれ、作品全体に深いテーマ性を持たせることに成功しています。
ジャンルは、SFとホラーの要素が融合した作品で、宇宙の未知の恐怖と、それに対する人間の脆さが描かれています。
主な出演者
| マイケル・ファスベンダー | デヴィッド / ウォルター |
| キャサリン・ウォーターストン | ダニエルズ |
| ビリー・クラダップ | オラム |
| ダニー・マクブライド | テネシー |
| デミアン・ビチル | ロープ |
キャスト解説
本作には、マイケル・ファスベンダーがアンドロイドのデヴィッドとウォルターの二役で出演しており、彼の演技が映画の鍵を握っています。
ファスベンダーは「X-MEN」シリーズのマグニートー役や、「スティーブ・ジョブズ」でのジョブズ役で知られており、その実力派の演技で多くの賞賛を受けています。
キャサリン・ウォーターストンは、コヴェナント号の乗組員であるダニエルズを演じています。
彼女は「ファンタスティック・ビースト」シリーズでのティナ役や、「インヒアレント・ヴァイス」での演技が評価されています。
ウォーターストンの強さと脆さを併せ持つキャラクターは、観客に強い印象を残します。
ビリー・クラダップが演じるオラムは、信仰心の強い副船長であり、ストーリーにおいて重要な役割を果たします。
彼は「ビッグ・フィッシュ」や「ウォッチメン」で知られる俳優で、幅広い役柄を演じてきました。
ダニー・マクブライドは、テネシーという陽気な操縦士を演じ、緊張感のある物語に一抹のユーモアを加えています。
彼は主にコメディ作品で知られており、「トロピック・サンダー」や「グッド・ディノサウルス」などに出演しています。
最後に、デミアン・ビチルがロープ役で出演。彼は「ヘイトフル・エイト」や「ザ・ナン」などで知られており、独特の存在感を発揮しています。
あらすじ
コヴェナント号は、惑星オリガエ6に向かう途中で事故に見舞われ、予期せぬトラブルから乗組員たちは予定外の惑星に降り立つことを決意します。
その惑星は一見して楽園のように見えますが、実際には人類にとって恐ろしい秘密が潜んでいる場所でした。
この惑星で彼らは、「プロメテウス」号の事件で唯一生き残ったアンドロイド、デヴィッドと出会います。
デヴィッドは自身の手で新たな生命を創り出し、それがどんな結果をもたらすのかを試みていました。
乗組員たちは次々と未知の恐怖に襲われ、生き残るために過酷なサバイバルに挑むことになります。
彼らは、この惑星が楽園ではなく、恐怖の舞台であることを徐々に理解していきます。
デヴィッドの存在と彼が生み出したものが、乗組員たちを絶望の淵に追いやり、人類の存在そのものに関わる脅威をもたらすことになるのです。
見どころ
こちらでは、「エイリアン: コヴェナント」における特に注目すべきシーンや要素を詳しく解説します。
映画の中で際立っていた演技や恐怖の演出、そしてシリーズ全体に影響を与える物語の深層について書いていきます。
マイケル・ファスベンダーの圧倒的な演技力
「エイリアン: コヴェナント」の大きな見どころの一つは、マイケル・ファスベンダーが演じる二役、デヴィッドとウォルターです。
ファスベンダーは、感情の表現が乏しいアンドロイドを冷静かつ魅力的に演じ分けています。
デヴィッドは、前作「プロメテウス」で見せた冷酷さをさらに深化させており、その狂気が物語に緊張感を与えています。
一方で、ウォルターは人間に対して忠実で優しいアンドロイドとして描かれており、二者の対比が物語の鍵となります。
ファスベンダーの巧みな演技によって、観客はこれら二つのキャラクターに対する感情の揺れ動きを体験します。
恐怖の演出と緊張感のあるシーン
リドリー・スコットは、「エイリアン」シリーズにおける恐怖の演出を再び見事に成功させています。
本作でも、暗闇や狭い空間、未知の生物との遭遇など、視覚的および音響的な要素が見事に組み合わされています。
特に、エイリアンとの遭遇シーンは、心臓が高鳴るほどの緊張感が漂い、観客をその場に釘付けにします。
無音から突然の音の変化によって生まれる恐怖感や、エイリアンのクリーチャーデザインが持つ不気味さが、シリーズの伝統を継承しつつ、新たな視点を提供しています。
シリーズの謎に迫る物語の深層
「エイリアン: コヴェナント」では、エイリアンシリーズにおける人類の起源や創造者「エンジニア」の存在についてさらに掘り下げられています。
この物語の深層部分は、前作「プロメテウス」で提示されたテーマを継続しながらも、より暗く複雑な方向へと進んでいます。
デヴィッドが追求する「創造」と「破壊」の概念が、作品全体にわたって描かれており、これがシリーズの大きなテーマの一つとして浮き彫りにされています。
この哲学的な問いが物語を重厚にし、観客に深く考えさせる要素となっています。
感想と分析
このセクションでは、「エイリアン: コヴェナント」の全体的な印象や、映画に込められたテーマを分析します。
また、リドリー・スコット監督が描いた作品のメッセージや、物語がシリーズ全体に与える影響について考察します。
リドリー・スコットのビジョンと哲学
「エイリアン: コヴェナント」は、リドリー・スコット監督が描いた壮大なビジョンを反映した作品です。
本作では、人類の創造主「エンジニア」の存在を通じて、生命や創造に関する哲学的な問いが投げかけられています。
デヴィッドのキャラクターは、自らの存在意義や創造の意味に対して強い執着を見せ、その行動はあたかも神を模倣するかのように描かれています。
このテーマは、前作「プロメテウス」で触れられた創造と破壊のサイクルをさらに深めています。
リドリー・スコットは、こうした哲学的なテーマを通じて、人間の存在や生命の意味を考えさせる問いを観客に提示しています。
シリーズへの新たな視点
本作は、エイリアンシリーズに新たな視点を加えると同時に、これまでの作品との整合性を保っています。
特に、デヴィッドが新たな「エイリアン」種を創造する過程や、その意図が明らかになるシーンは衝撃的であり、シリーズ全体の物語を再評価するきっかけとなるでしょう。
また、前作「プロメテウス」から続く物語の中で、デヴィッドのキャラクターはシリーズの中心的な存在となり、その野望や狂気がストーリーをよりダークで複雑なものにしています。
この映画は、単なるホラーやアクション映画ではなく、シリーズ全体の哲学的側面を強調する作品として考えられます。
評価のまとめ
「エイリアン: コヴェナント」は、リドリー・スコット監督が再び手がけたSFホラー作品として、シリーズファンやSFホラーファンに強く支持される作品となっています。
特に、マイケル・ファスベンダーの二役における卓越した演技や、視覚的に美しい映像、そしてシリーズを通して描かれる創造と破壊のテーマが、作品に深い印象を与えています。
一方で、一部の視聴者には物語の難解さやキャラクター描写に物足りなさを感じるかもしれませんが、全体として高い評価を受けるに値する作品です。
本作は、単なるエンターテインメントを超えた、哲学的な問いを含んでおり、シリーズの一つの到達点と考えても良い作品です。