『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を徹底レビュー!スティーヴン・キングの名作を映像化したホラーの魅力とは?

この記事では、映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。

』の魅力を中心に解説し、特に恐怖演出やキャラクターの成長に焦点を当てます。

また、ホラー映画としての独自性や映像化による原作との違いについても掘り下げていきます。

映画情報

公開日 2017年9月8日(米国)、2017年11月3日(日本)
上映時間 135分
監督 アンディ・ムスキエティ
脚本 チェイス・パーマー、キャリー・フクナガ、ゲイリー・ドーベルマン
ジャンル ホラー、超自然的スリラー

解説

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、スティーヴン・キングの1986年の同名小説を原作とした超自然的ホラー映画です。

映画はアメリカで公開され、瞬く間にホラー映画の歴史に残る作品となりました。

27年周期で子どもたちを襲う「それ」と呼ばれる存在が物語の中心であり、ペニーワイズという不気味なピエロの姿がその象徴です。

この作品は、子どもたちの成長物語と恐怖の要素を絶妙に組み合わせた傑作ホラーとして高く評価されています。

主な出演者

ジェイデン・リーバハー ビル・デンブロウ 『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』
ビル・スカルスガルド ペニーワイズ 『デッドプール2』、『エターナルズ』
フィン・ウォルフハード リッチー・トージア 『ゴーストバスターズ』
ジェレミー・レイ・テイラー ベン・ハンスコム 『グースバンプス 呪われたハロウィーン』
ソフィア・リリス ベバリー・マーシュ 『ナンシー・ドリューと秘密の階段』

キャスト解説

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、実力派若手俳優たちが主役を務め、特に注目されたのがビル・スカルスガルドの演じるペニーワイズです。

彼の不気味で異様な表情は、多くの観客に強い恐怖を与えました。

また、主人公ビルを演じるジェイデン・リーバハーや、リッチー役のフィン・ウォルフハードは、友情と成長を描く中でキャラクターの深みを見事に表現しています。

子供たちの恐怖と友情を描いた本作は、彼らの演技力が物語を引き立てる重要な要素となっています。

あらすじ

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、メイン州の小さな町デリーを舞台にした物語です。

ある日、ビル・デンブロウの弟であるジョージーが行方不明となり、デリーでは次々と子どもたちが姿を消していく怪現象が発生します。

やがてビルとその仲間たちは、「それ」と呼ばれる正体不明の存在が関わっていることに気づきます。

「それ」はペニーワイズというピエロの姿をして現れ、人々の恐怖を餌にして襲いかかってくるのです。

主人公たちは、「それ」と対峙し、恐怖に立ち向かう決意を固めますが、町に潜む闇の正体とその目的が徐々に明らかになっていきます。

ITにおけるホラーの魅力

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、独自のホラー要素を持ち、他のホラー映画とは一線を画す作品です。

この映画では、単に恐怖を煽るだけではなく、キャラクターたちが抱える個々のトラウマや恐怖心を効果的に描き出している点が大きな魅力となっています。

ペニーワイズという異様な存在は、彼らの内面的な恐れを具現化し、観客に共感と恐怖の両方を与えます。

続くセクションでは、映画の中でも特に印象的なホラー要素を3つに分けて詳しく解説します。

それぞれ、ペニーワイズのキャラクター、子供たちの恐怖と成長、そして原作との違いに焦点を当てます。

恐怖の象徴ペニーワイズ

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の恐怖を代表するキャラクターが、異様なピエロ「ペニーワイズ」です。

ペニーワイズは単なる恐ろしい姿の怪物ではなく、子どもたちが抱える最も深い恐怖を具現化して登場します。

映画全体で彼の存在は、人間の内面の恐怖を巧みに利用することで、視覚的な驚き以上に心理的な恐怖を生み出しています。

ビル・スカルスガルドが演じるペニーワイズは、独特の外見と仕草が特徴的です。

彼の不気味な笑顔や異様な動きは、見ている者に強烈な印象を与えます。

ペニーワイズの目つきや笑い声、突然の行動変化は、単なる「怖いピエロ」を超えたキャラクター性を持ち、観客に「次に何が起こるかわからない」という緊張感を植え付けるのです。

さらに、ペニーワイズは物理的な怪物ではなく、27年周期でデリーに現れて子どもたちを襲う「それ」という存在の一つの表れに過ぎません。

この設定により、ペニーワイズは常に変幻自在で、恐怖の形を変えて何度も登場します。

彼の登場シーンは、見えない恐怖が何かしらの形で迫ってくるという緊張感を生み、観客はペニーワイズの存在そのものに圧倒されることになります。

子供たちの恐怖と成長:ホラーの中に潜む心理的恐怖

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のホラーの魅力は、単なる外的な恐怖だけでなく、子供たちが直面する心理的な恐怖とそれに対する成長の描写にもあります。

ペニーワイズが表すのは、単なる怪物ではなく、登場人物たちが抱える個々の深層心理に根差した恐怖です。

ビルが抱える弟の喪失感、ベバリーが直面する家庭内暴力、ベンの孤独感など、それぞれのキャラクターが内面的に恐れているものが、ペニーワイズによって具現化されることで、物語は単なる外的な恐怖にとどまらず、登場人物たちの成長過程が恐怖とともに描かれます。

特に、ペニーワイズが恐怖を餌にしているという設定は、子供たちが自らの内面的な弱さを克服して成長しない限り、「それ」を倒すことができないという、心理的な恐怖を観客に強く印象づけています。

このように、ホラー要素は単なるショックシーンやスリルにとどまらず、キャラクターたちの心理的な闘争に深く結びついている点が、この映画の特異な魅力の一つです。

原作との違いと映像化のメリット

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、スティーヴン・キングの名作を映画化した作品ですが、映像化にあたっていくつかの大きな変更が加えられています。

これらの変更点により、原作のファンにとっても新鮮な体験を提供しつつ、映像メディアの特性を最大限に活かした作品となりました。

時代設定の変更

原作では1950年代が舞台となっていますが、映画ではこれを1980年代に変更しています。

この変更により、現代の観客が共感しやすい時代背景が描かれ、80年代特有のカルチャーや音楽も物語に織り込まれています。

特に、1980年代のノスタルジックな要素が、子どもたちの冒険と恐怖をさらに引き立てています。

また、この時代設定は、リメイク版『ストレンジャー・シングス』などの影響を受けたとも言え、同じ時代に成長した観客層に強い共感を生み出す要素となっています。

ペニーワイズのビジュアル表現

映画では、ペニーワイズというキャラクターのビジュアルと演技がより強烈で視覚的な恐怖を煽ります。

ビル・スカルスガルドが演じるペニーワイズは、その異様な外見と独特の動きで、原作の想像を超える恐怖を表現しています。

特に、彼の不気味な笑顔や、変幻自在な姿は、映像ならではの迫力を持って観客に強烈なインパクトを与えます。

原作では文章によって描かれる恐怖が、映画では映像と演技を通じて視覚的かつ心理的にダイレクトに伝わります。

ストーリーのテンポとアクション性

映画化に伴い、ストーリーのテンポも原作に比べてスピーディーに進行します。

原作では、登場人物の内面的な描写に重点が置かれていますが、映画ではアクションシーンや対決シーンが強調され、スリリングな展開が観客を引きつけます。

特に、ペニーワイズとの直接的な対決シーンは映画ならではの緊張感を生み、原作にはない映像的なスリルを提供しています。

また、特殊効果を駆使した映像は、原作では表現しきれない超自然的な要素をよりリアルに再現しています​

映像ならではの恐怖演出

映像化によって、音響やカメラワーク、特殊効果などが総合的に使われ、原作では体験できない視覚的な恐怖が効果的に強調されています。

暗闇や静寂の中で突然現れるペニーワイズのシーンや、徐々に恐怖が増幅されていく描写は、映像メディアならではの迫力を持っています。

こうした演出により、観客は物語の中に深く引き込まれ、ペニーワイズが登場するたびに予測できない恐怖感を味わいます。

感想と分析

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、ホラー映画としての完成度が非常に高く、多くの観客や批評家から高評価を得た作品です。

その成功の要因は、視覚的な恐怖だけではなく、キャラクターの成長や友情を描いた物語の深みがあったからと言えます。

ホラー映画でありながらも、登場人物たちの内面的なドラマに重点が置かれており、単なるスリルや恐怖を超えた感動的な要素が観客に強い印象を与えています。

ホラー映画の新たな境地

『IT』は、恐怖の描写が単なるグロテスクなシーンやジャンプスケアに頼らない点が特徴的です。

ペニーワイズが人々の恐怖心を具現化するという設定は、単なる怪物以上の存在感を持たせ、観客に「内面の恐怖」を感じさせます。

これにより、映画はホラーのジャンルに新しい境地をもたらし、単なる怖がらせのための作品ではなく、心理的な圧迫感を持つ作品となりました。

また、音響や映像の使い方も秀逸で、無音の中に訪れる恐怖や、光と影のコントラストが観客を引き込む手法は他のホラー作品にはない独自性を持っています。

観るべきポイント

この映画の見どころは、恐怖そのものの演出と同時に、キャラクターたちの成長と絆です。

特に、ペニーワイズとの直接対決シーンでは、視覚的なスリルとともに、登場人物たちが自分たちの恐怖に立ち向かう姿が強調されており、観客も一緒に彼らの戦いを応援したくなるでしょう。

加えて、ビル・スカルスガルドの演技は、ペニーワイズというキャラクターを単なる「悪役ピエロ」から、より複雑で恐怖を引き起こす存在へと昇華させています。

彼の独特な動きや表情が映画全体の雰囲気を一層引き締めています。

ターゲット層

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、ホラー映画好きのファンを中心に、スティーヴン・キングの原作ファンや、心理的恐怖をテーマにした映画を好む観客に向いています。

特に、以下のような観客層におすすめです。

ホラー映画ファン

まず、この映画は純粋に恐怖体験を求めるホラー映画ファンにとって必見の作品です。

ペニーワイズの不気味な存在感や、巧みに作られた緊張感のある演出、心理的恐怖が存分に楽しめる内容です。

また、映画全体に流れる不安定な雰囲気や、観客をじわじわと追い詰める恐怖の描写は、スリルを楽しむ層に大いに響きます。

スティーヴン・キングのファン

原作であるスティーヴン・キングの『IT』を読んだことがあるファンにとっても、この映画は大きな魅力があります。

映画化に伴い、時代設定やいくつかのディテールが変更されていますが、物語の核心である「恐怖の象徴」と「子供たちの成長」というテーマは忠実に描かれています。

原作を読んでいたファンでも、映像化された恐怖やキャラクターたちのドラマを新しい視点で楽しむことができます。

心理的ホラーやドラマを好む人

『IT』は単にグロテスクなシーンや突然の驚きで怖がらせるだけではなく、登場人物の内面や心理的な恐怖が大きく描かれています。

個々のキャラクターが抱えるトラウマや、彼らがそれを克服していく姿が感動的であり、単なるホラー映画を超えた深みを持つ作品として評価されています。

このため、ホラーだけではなく、心理的なドラマに興味がある観客にも強く訴える内容です。

評価のまとめ

映画『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、ホラー映画としての成功と同時に、深い心理的テーマやキャラクターの成長を巧みに織り交ぜた作品です。

ペニーワイズという恐怖の象徴が持つ圧倒的な存在感はもちろんのこと、主人公たちがそれに立ち向かう姿が、単なる恐怖を超えた感動的な物語に仕上がっています。

視覚的にも音響的にも優れた恐怖演出が、観客を物語に引き込み、最後まで飽きさせない展開を見せました。

ホラー映画ファンだけでなく、原作ファンや心理的ホラーを楽しむ観客にとっても、非常に満足度の高い作品となっています。

1980年代のノスタルジックな雰囲気も加わり、幅広い世代に訴求できる点も大きな魅力です。

映画全体を通じて、視覚的・心理的に引き込まれる体験が味わえるため、このジャンルを愛する人にとっては必見の映画です。

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